笑顔で介護! 特養〜自宅で看取るまで<第3回>母の目が死んでいる~MRIまでの数日間~

笑顔で介護! 特養〜自宅で看取るまで<第3回>母の目が死んでいる~MRIまでの数日間~
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介護カレンダー編集部が見聞きした「介護」にまつわる情報をさまざまな観点からお届けします。

「アルツハイマー型認知症」と診断された母。

スープの冷めちゃう距離(片道1時間半)、子ども3人+犬+仕事、今の私ができることはなに?

毎日でも母の元へ通いたい。でも

これは、母が認知症と認定される少し前。
「頭、割られる〜」と騒いだMRI検査直前の出来事です。

「お母ちゃん、頭を割られるとか言ってて……」。

弟からの電話ですぐに母の元へ飛んでいったら、ニコニコと私を待っていて、こっちが拍子抜け。

笑顔で介護! 特養〜自宅で看取るまで<第1回>突然訪れた母の異変に頭がグルグル

あれ!?
弟が心配するほどでもない?
でも、私が意識して母の話を聞いていると、

あら!?
どこか変?
なんとなく変!?

もっと母と話したいけれど、子どももいるし、仕事もしているし、
毎日、母の元に通ったり電話したりは難しいし……。

そうだ! メールという手がある!

「話すときはちゃんと相手の目を見なさい」と言っていたのに

というわけで、携帯ショップへ出かけました。

当時、母が使っていたのはもちろん、ガラケー。
メールは打てないけど、受信はできるし、電話もできる。

でも、ショップのお姉さんが一生懸命、説明してくれているのですが、
やる気がない? というより、
 目が死んでいるという以外の表現ができないくらい、焦点が合っていません。
ボ〜ッとして、 お姉さんの話を全く聞いていないようです。
人一倍、躾に厳しく、
「話すときは、ちゃんと相手の目を見なさい」と言っていたのに。

お姉さん「電話がかかってきたら、どうしますか?」
母「……」
お姉さん「電話に出ましょう! フタを上げてください、そして、このボタンを押します」
 母「……」

お姉さん「では、もう一度、最初からやりましょうね。 はい! 電話がかかってきました、どうしますか?」
母「……」
お姉さん「蓋をかけて、電話マークのボタンを押してくださいね」

 母、フリーズして死んだ魚のような目をしています。
その後も、同じことを繰り返したけれど、全く理解したり覚えたりする気配がありません。

いったいどうしちゃったの??
それまでも、ガラケーで電話はできていたのに、
改めて説明されると、心も体もフリーズしちゃうみたいで……
体までどんどん猫背になっていきます。

結局、メールを練習しにきたはずがそこまで辿り着けませんでした。

雑誌は読めるのに、検査の文字は……

そして、携帯ショップからその足でメガネ屋さんへ!

何年も同じ老眼鏡を使っていたから、もしかしたら、よく物が見えなくておかしな行動をしているのかも……。
今思うと、私の思考回路もかなり焦っていたのですね。

通常なら5分で終わるという視力検査が、なんと片目で20分越え!!!
赤い丸や青い星形、緑の三角形、 数字とひらがなどが並ぶなかから、

メガネ屋のお姉さん「赤い丸を指差して」
母「……」

またまた完全もフリーズ。

お姉さん「数字の4を指してください」
母「……」

しばらく経ってから、全く違うものを指さす始末。
そのうちに母の目はまた死んだ魚のように……

それを繰り返すこと、20分。
全く検査になりません。

しかし。
ファッション雑誌を渡されると、記事の普通サイズの文字が読めています。

ええええ!!!!

お姉さん「眼科はなくて、別の科に行った方がいいかもしれません」

ルーティンはこなせているのに、新しいことは受け入れられない

携帯ショップにしても、メガネ屋さんにしても
新しいことをしようとすると、脳がシャットダウン、拒否しちゃうせいで
目が死んだ魚みたいになってしまうのでしょうか。

でも、この状態で一人暮らしができている母は、ある意味すごい。
日常の生活はこなせ、ご近所のお友達とも、ちゃんと会話できているのだから、
やろうとしているレベルが理解できないはずはないんです。

じゃあ、どうしてできないんだろう?

 お姉さんに質問される = 非日常だから?

弟と私の熱烈アプローチで、母の認知症はだいぶ改善されてきてた、
と思っていたのに。

でも、その後、主治医から、
「認知症になると、ルーティーンはこなせるが、新しいことはなかなか受け入れられない」と聞いて、ようやく母の状況が納得できた気がします。



ここに記載されている内容はあくまでも個人の体験であり感想です。

<プロフィール>なかお わかこ
1965年生まれ。 家族は、夫と息子3人、犬2匹。弟。 主婦であり、酵母パンやマクロビ料理主宰、ウェブサイトの運営など。 父 脳内出血後、半植物となり、1年間の病院での療養を経て、69歳で他界(2004年)。 母 軽度のアルツハイマー型認知症発症。脳内出血で病院に入院。特養を経て2021年自宅で看取る 。

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