空きがなく入居まで1年。準備は早めが鉄則!【介護施設探しの体験談】

空きがなく入居まで1年。準備は早めが鉄則!【介護施設探しの体験談】
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千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス所長、老人ホームアドバイザーである石田治男さんが「老人ホーム」を探す際の考え方や欠かせない知識、実践的なテクニックを教えてくれました。また、家族や親戚などを老人介護施設へ入居させた経験がある方の体験談も紹介します。

一人暮らしのおばあさまを引き取って介護を続けていたK.Yさんのおかあさま。認知症が進み、自宅での介護は困難になり、施設を探すことに。しかし、どこに入れるのか、どこにその受け皿があるのかが全くわからない状況だったと言います。

入居を決めてから実際の入居まで1年。入居を考えるなら準備は早めに!

【プロフィール】
<入居者>祖母
<施設種類>介護付き有料老人ホーム
<入居年齢>80代以上
<介護度>要介護3
<入居期間>2010年6月〜2013年11月
<居住地域>島根県
<話を聞いたかた>孫

入居者との関係

私の母方の祖母です。長く離れて暮らしていましたが、高齢になり母が引き取った後、数年は家で暮らしましたが、認知症がひどくなり、施設にお願いすることにしました。

医療的ケア・疾患、症状など

認知症以外はありません。

入居を決めた時期と理由

祖母は75歳のとき認知症の診断を受け、それ以降は投薬を受けながらひとりで暮らしていました。しかし施設に入りたいと思ってもすぐには入れず、困りました。

そんな祖母のことを心配した母が、呼び寄せてお世話をすることにしました。母は施設に入れずに自分が最後までお世話をするつもりでしたが、ヘルパーさんの手を借りても自宅で看ることが困難になりました。

祖母は認知症による感情の波が激しくなり、母に暴言を吐いたりキレたり叩いたり、そうかと思えば急に気分が沈んでしまって食事をしなかったり……。祖母にとっても、母にとっても、大変な暮らしでした。

その後、私やヘルパーさんも交えて話し合い、客観的な視点から見ても、自宅で見ることは難しいということがわかり、施設に入れることを決めました。

祖母が徘徊するようになり、母が夜も寝られなくなったことが決定打だったかもしれません。

しかし施設に入りたいと思っても、すぐには入れず困りました。

施設の探し方

施設に入ることを決めても、どこに入ればよいのか、どこにその受け皿があるのかが全くわからない状況でした。

まずネットで情報を集めましたが、住んでいたのが大きな町ではないので、どこも「満室」「順番待ち」の状況でした。市役所に行き、相談もしてみましたが、同じような人がたくさんいるとわかっただけでした。

入居の手続き、ステップ

自宅から40kmと範囲を広げ、ネットで候補となる8つの施設をリストアップして、空きがあるか、どのくらいの待ち状態であるかを電話で確認しました。

母が通いやすいこと、また評判などを参考に、さらに3つの施設に絞り、入居の希望があることを伝えました。

しかし、なかなか「空き」がなく、結局1年近く入居できぬまま過ごすことになりました。思い返してみると、この時期が最も大変でした。私も母を手伝って祖母の介護をしましたが、家庭で看られるレベルを超えていたので、肉体的な疲労はもちろんありますが、それ以上に精神的なダメージが大きくてまいりました。祖母も辛かったのだろうと思いますが、とにかく皆が頑張って、我慢して、耐えて……。

結局1番目に希望した施設には待ち時間が長過ぎて入れませんでしたが、なんとか第二希望の施設に入ることができました。

入居して良かったこと

母に穏やかに暮らせる日々が戻ったことです。祖母にとっても、介護のプロに看てもらうので、状況がよくわかってもらえた点が良かったと思います。

母も心の余裕ができたことにより、祖母に優しい気持ちで接することができるようになりました。母にとっても祖母にとっても、失っていた関係を取り戻すことができて良かったと思います。

祖母は高齢でもあったので、医療的なケアがすぐに受けられたり、異変にもすぐに対処してもらえたりする点も、安心材料となりました。

入居して大変だったこと

祖母が「家に帰りたい」「お父さん(夫)に会いたい」「私は家族に捨てられた」と言って泣いたり、落ち込んだりということを何度も繰り返したのがつらかったです。

祖父はすでに亡くなっていたので、そう言われてもどうすることもできず、祖母の悲しみを思うと、なおさらつらくなりました。

祖母が「スタッフに怖い人がいる、その人がいじめる」と言い出したこともあり、その時は対応に困りました。本当にそのようなことがあるなら解決しなければなりません。でも事実でないなら、施設との関係が悪くなってしまいそうで、ずいぶんといろいろな人に相談をしました。

こっそり他のご家族に「そんな噂がありますか?」と聞きましたが、そんな悪いスタッフさんはいないということがわかり、祖母も次第に言わなくなりました。

入居を検討しているかたへのアドバイス

アドバイスとしては「準備は早めに!」です。これに尽きます。

母や祖母の住んでいる地方の町では、入りたいと思ってもすぐには入れないのが当たり前です。入居を待っている間に亡くなってしまう人も少なくありません。

家で看られない状況が発生しそうなら、早めに入居を希望する施設と連絡を取って、関係を作っておきましょう。順番が来るまで待ちながら、自宅での介護をしていくくらいの準備が必要だと思います。

※入居時点の情報であり、あくまでも個人の感想です。

★介護付き有料老人ホームについて詳しく知りたいかたは、こちらをご覧ください。

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