老人ホームの相談事例<「ペットの猫と一緒に入居できる老人ホーム」を入居金はできるだけ安く、月額費用は25万円程度で探してほしい>【老人ホームの選び方 vol14】
連載タイトルPIC

千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス所長、老人ホームアドバイザーである石田治男さんが「老人ホーム」を探す際の考え方や欠かせない知識、実践的なテクニックを教えてくれました。また、家族や親戚などを老人介護施設へ入居させた経験がある方の体験談も紹介します。

こんにちは!千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス所長の石田です。

老人ホーム探しは難しいものです。なぜなら人によって老人ホームに入る年齢も、要介護度も生活様式も趣味嗜好も、そして老人ホームにかけられるお金も違うからです。

しかし、希望の老人ホームが見つかったとしても、入居後に想定外のトラブルや困りごとが発生する可能性もあるのが難しいところ。

「老人ホームの選び方」では、私が過去にお受けした実際の相談事例を紹介しながら、注意すべき点を考えていきたいと思います。

ぜひ参考になさってください。

1.「ペットの猫と一緒に入居できる老人ホーム」を入居金はできるだけ安く、月額費用は25万円程度で探してほしい

1-1 入居対象者の状況

<性別>女性

<年齢>81歳

<介護保険>要支援2

<認知症>なし

<必要な医療行為>バルーンカテーテル

<既往症>気管支拡張症

1-2 相談内容

ある病院のソーシャルワーカー様からの紹介で、長年ペットの猫ちゃんと暮らしていた叔母様の入所先を探す姪御様から相談がありました。

千葉県にお住いの対象者の叔母様は、1カ月程前に自宅で急に動けなくなり、病院に搬送されたところ、腰椎と肋骨が骨折しており、念のための精密検査で多発性骨髄腫が見つかったそうです。

入院してからはベッド上で過ごすことを余儀なくされ、今後もADL(生活を送るために最低限必要な日常的な動作)の回復が見込めないとのこと。ひとり暮らしの叔母様は姪御様以外に身寄りがありませんが、東京在住の姪御様が定期的に叔母様のもとへ通うことは難しいため、在宅復帰は困難と判断し老人ホームを検討することになりました。

姪御様としてはなんとしても叔母様に老人ホームに入所してもらいたいのですが、叔母様が長年一緒に暮らしてきた猫ちゃんと離れ離れになるのは絶対嫌がるだろうということで、「猫ちゃんと一緒に入居できる老人ホーム」は必須条件でした。

また、叔母様のお身体の状態を考えると、猫ちゃんの餌やりやトイレの世話なども老人ホームのスタッフにやってもらえることが前提でした。

入居金はできるだけ安く、月額費用は25万円くらいというご予算です。

1-3 私の対応

最近、猫や犬などのペットと一緒に入居できるとうたった老人ホームが増えています。しかし、あくまでもご自分で世話をすることが前提です。また、ADLが低下したり、逝去したり、ご自分でペットの世話ができなくなった場合、親族が引き取ることを前提条件にしているホームがほとんどです。

つまり、今回の相談事例では、「ホームのスタッフが猫ちゃんの世話をする」という点がハードルになりました。

また、姪御様は知人のかたが面会に行きやすいようにと、叔母様のご自宅に近い地域の老人ホームを希望されていました。

この二つの条件をかなえるために、姪御様にはエリアを広げて老人ホームで探すことをご了承いただきました。

早速、ペットの入居が相談できる老人ホームに問い合わせを始めました。しかし、老人ホームの担当者にご事情を説明しても、『ペットとの入居はできるのですが、お世話は入居者自身にお願いします』と、やはりほとんどの老人ホームに断られてしまいました。

老人ホーム業界でも、介護人材不足が問題になっているご時世ですから、入居者に加えてペットも世話することになれば、ホームのスタッフの仕事は当然増えます。また、コロナ禍の今、それでなくてもスタッフの負担は増えていますから、断られても仕方がないことです。

もう、猫ちゃんとの入居はあきらめてもらうしかないかも……と、あきらめかけた矢先、以前事務所内で猫を飼っていたという老人ホームが見つかりました。その施設長に相談したところ、「猫を飼っていた経験もありますし、ホームのスタッフの負担が増えるようであれば、外部からペットシッターに来てもらう方法もあるので受け入れできますよ」と前向きなお返事をいただきました。

早速、姪御様にこちらの老人ホームに見学に行っていただき、入所が決まりました。

入所から1週間、叔母様と猫ちゃんの状況をホームと姪御様に確認したところ、入居初日は猫ちゃんがベッドの下に入ったりしたものの、今は落ち着いてケージに入ったり、叔母様のベッドの上で一緒に過ごしたりと、叔母様も満足されているご様子とのこと。「スタッフさんたちが猫見たさに部屋に来てくれる」と笑って話していらっしゃるそうです。

1-4 今回の事例のポイント

・ペットと一緒に入居できる老人ホームの多くは、入居者がペットの世話をすることを前提にしている。

・ペットと一緒に入居できても、ペットの世話ができなくなった場合は、親族が引き取ることを条件にしているホームが多い。

・ホームのスタッフの対応が難しい場合は、ペットシッターの活用も検討する。(ペットシッターの派遣は業者によりますが1時間3,000円程度の料金がかかります)

2.まとめ


いかがでしたでしょうか。
今回は、ペットと一緒に老人ホームに入居されたという事例を紹介しました。老人ホームに入るには難しいと思うような条件でも私どものような専門家に相談いただくことで回避できることもあります。

ダメだと諦めず、経験豊富な専門家に相談することをお勧めします。

次回も、実際の老人ホームの相談事例を基に解説する予定です。

老人ホームの選び方(介護カレンダー)

記事提供:石田治男
千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス 所長
入居相談員 / 老人ホームアドバイザー

老人ホーム・介護施設の選び方&体験談

老人ホーム・介護施設の選び方&体験談の最新記事