2018年に公開された『ぼけますから、よろしくお願いします」。ドキュメンタリー作家であり、この映画の主人公夫妻のひとり娘でもある、信友直子監督が自らカメラを回し、アルツハイマー認知症になった母と耳の遠い父の日常を描き、たくさんの人の深い感動、共感を得て、動員数20万人を超える大ヒットを記録、令和元年度文化庁映画賞・文化記録映画大賞を受賞しました。
あれから4年。その続編としてドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします〜おかえり おかあさん〜』が3月25日に公開されました。
本作では、老老介護の日常に、大きな変化が訪れます。2018年に、この映画の主人公のひとりである監督の母が脳梗塞で倒れたのです。一命は取り留めたものの、左半身に麻痺が残り、病院に入院してリハビリを始めます。
妻の帰りを信じて、98歳の父が筋トレに励む姿からは、ぼけても、寝たきりでも、妻のそばにいることが当たり前。その笑顔からは「介護」をしているという悲壮感は微塵も感じられません。
でも、コロナ禍で思うようにおかあさんに会えないおとうさんの顔がちょっぴり寂しそうで、なんだか切ない気持ちになりました。そして、コロナという見えない敵に分断されているたくさんの家族を考えると、なんだかはらが立ってきました。
信友監督は言います。「介護は、親が命懸けでしてくれる最後の子育てであると」。親の命がけの子育てを、わたしは応えられたかな。亡くなった父を思って、そんなことを考えました。
ドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします〜おかえり おかあさん〜』は、親の介護はもちろん、自分の行先や家族のカタチ、あり方を考えるきっかけとなる映画だと思います。
ちょっぴり泣けて、でも見終わったあとはきっと笑顔になる。
介護カレンダー編集部オススメの映画です。
『ぼけますから、よろしくお願いします〜おかえり おかあさん〜』
2022年3月25日(金)より全国順次公開