笑顔で介護! 特養〜自宅で看取るまで<第12回> 特養・申請1回目で母が特養に入れた! 私がやったことは? わたし流・特養の選び方 その③

笑顔で介護! 特養〜自宅で看取るまで<第12回> 特養・申請1回目で母が特養に入れた! 私がやったことは? わたし流・特養の選び方 その③

明るく元気だった母が「アルツハイマー型認知症」、そして脳内出血。
思いもよらず、リハビリ病院からの転院先を探すことになりました。
家族で相談して、高齢者向け施設への入居を決めましたが、誰に相談したらいいのか?
どうやって情報を集めたらいいのか、わからないことばかりです……

<第12回>では、<第10回><第11回>に続けて倍率が高いといわれている特養に、申請1回で母が入居できたその理由をお話ししようと思います。

私の経験が読んでくださるかたの役に立ちますように。

8、ショートステイを繰り返す

見学に行った際、ある施設で教えてもらったのが

同じ特養で「ショートステイ(1泊2日)」を繰り返していると、その施設に入りやすくなる」ということ。

ショートステイは、最大で1カ月なので、1カ月ずっといたら、1日だけ家に連れて帰り、また次の1カ月はショートステイを利用してその特養で生活してもらうのだそうです。

そう教えてくれた特養(特別養護老人ホーム)では、そうやって順番待ちをする方も多く、長いかたは、ショートステイを数年に渡って繰り返している方もいらっしゃるそうです。

もちろん、月額料金で考えれば、ショートステイは、「特養よりも多少高く、有料老人ホームよりは安い」なのだそうです。

9、特養といっても、内容や実際に支払う金額は施設によってさまざま

特養と有料老人ホームの差は、数万円になります。

ということは、設備も食事も、介護の質も、施設によってさまざま。

千差万別、それぞれの特養に特徴があります。

入居者はもちろん、家族とも相性がありますから、合わないタイプの施設に入ってしまうと、本当に大変です。

しかも、気に入らないからといって、特養はチェンジができません。

一度入ったら、ずっとそこで生活しなくてはなりません。

入居後は、そこで生活する人はもちろん家族もたくさん関わっていかなくてはなりません。

施設でのいろいろな行事、細かい連絡事項、こちらからのリクエスト、また何かあった時の呼び出しなど、思った以上にこまめな連絡があるので、自分たちや家族にとっても相性の良い施設を選ばないと、本当に辛いことになります。

お互いが笑顔で介護できるよう、より自分たちに合う施設を見つけるため、複数の施設を見学することをお勧めします。

たくさん見て回って面白いな〜と思ったのは、

ほとんどの施設で、エレベーターは、暗証番号を入れないと動かない、エントランスは、高い位置にボタンがあり、それを押さないと開かない、です。

入居者が、勝手にどこかに行ってしまわないよう、防止策です。

10、わたしからのアドバイス

全部ではありませんが、私が見学した施設で感じたそれぞれの特徴についてお話しします。

《施設A》

・ユニット式
・犬を連れての入居はできないが、面会に連れて行くことはできる。
・入居者は、日中、個室にいることが多い
・なんとなく、室内が暗い
・清潔感がある
・介護者の姿が、あまり見られなかった
・職員は親切丁寧
・ケアマネさんの口コミは高評価
・金額は一般的

《施設B》

・ユニット式
・まるで高級旅館のような印象を受けた
・エントランスがゴージャスだった
・一歩中に入ると、比較的高級感があった。室内もきれいで清潔感があった
・職員は非常に丁寧に申請書の書き方を教えてくれた
・値段の高い部屋(20万円くらい)ならすぐにでも入れると、何度も勧められた(特養では利用者負担段階が3だと通常は10万円くらいの認識だったので、その倍の料金の部屋だった)
・ご近所さんの評判が良くなかった
・隣に老健もある
・老健はとても明るくて雰囲気がいいが、母が認知症の度合いが進んでいると伝えると、あからさまに顔をしかめられた。認知度の進んだ人を嫌がっているのかなと感じた

《施設C》

・ユニット式
・モダンな外観、内装も、コンクリート打ちっぱなしと、とても特養に見えない
・デザイナーズマンションのよう
・入ってすぐの多目的スペースがとても広くて開放的で天井も高い
・コンクリート打ちっぱなしのせいか、冷たい印象がする
・個室もコンクリート打ちっぱなし
・入居者は、日中、個室よりリビングにいることが多い
・介護士さんは、パソコンを打っていて、入居者の世話をしているように見えなかった

《施設D》

・ユニット式
・全てにおいて、普通な感じ
・特に印象に残らない感じ
・職員が、パソコンばかり打っている
・案内をしてくれた男性は親切
・近隣の保育園や幼稚園と提携していて、園児たちとの触れ合いが多い
・アクティビティも多いらしい

《施設E》

・多床式
・建物は古いが、とにかく明るくて、自然光もたっぷり入って、気持ちが良い
・職員も親切で、感じが良い
・入所者はかなり高齢で、寝たきりの人が多かった

《施設F》←第1希望の施設

・ユニット式
・とにかくアットホームな雰囲気
・他に比べて、毎月の支払額が安め
・案内してくれたケアマネ長は、気さくだった
・入所者に会うたび、ケアマネ長が、一人ひとりの名前で呼んで声をかけているのに、びっくり!ちゃんと、各々の人に適した内容で話しかけていた
・介護士さんたちも若い人が多く、笑顔が印象的
・明るく活動的な印象
・見学させてもらったユニットで、洗濯物畳んでいるおばあちゃんを発見。この施設では、それぞれ、できること、やりたいことをやってもらうと、ケアマネ長が説明してくれた。他の施設では、すべて職員がやっていたから、すごくいいなぁと思った
・エレベータに暗証番号もなければ、エントランスにボタンもなく、入居者も好きに出入りできるようになっている。本人の自主性に任せているそう。「勝手に出て行ってしまう人がいるのでは?」と聞いたら、「外に出る人もいるが、エントランスの横の詰所で職員が常に見ているので、入居者が出て行ったら追いかける」とのこと。「でも出て行ってもそこで日向ぼっこをするだけなので、一緒に日向ぼっこするだけです」。なんともほのぼのとした雰囲気。

《施設G》←←←実際に母が入居した施設

・ユニット式
・若くてとても感じの良いケアマネの女性が案内してくれた
・清潔感があり明るく広々としている
・日中は、ほぼリビングでみんなと過ごすそう
・リビングにいる人たちが、会話をしていて、雰囲気が良い
・金銭的には普通
・共有スペースも多い
・できてまだ数年なので、近隣幼稚園や保育園との連携や地元との交流がない
・特にこれといったプラスポイントはなかったのですが、とにかく、雰囲気が良く感じました。特に、案内をしてくれた女性がとても親切で感じが良く、この人になら任せられる!と思いました。


まとめ

正直なところ、第1位希望の《施設F》がダントツで良すぎ、他が霞んでしまったのが事実です。

この他にも、老健(介護老人保健施設)3カ所、特養もあと2カ所、見て回りましたが、どの施設も、「選んでほしい感」が溢れていて、丁寧に案内してくれました。

これだけの数を見て回る必要は必ずしもないと思いますし、実際、大変でしたが、その反面、おもしろくもありました。

読んでくださるみなさんが見学に行かれる際の、見るべきポイントとして参考にしてくだればうれしいです。

<プロフィール>なかお わかこ
1965年生まれ。 家族は、夫と息子3人、犬2匹。弟。 主婦であり、酵母パンやマクロビ料理主宰、ウェブサイトの運営など。 父 脳内出血後、半植物となり、1年間の病院での療養を経て、69歳で他界(2004年)。 母 軽度のアルツハイマー型認知症発症。脳内出血で病院に入院。特養を経て2021年自宅で看取る。

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