こんにちは。シニア生活環境オーガナイザーⓇの仲野寿代です。
高齢になってくると、複数の薬を飲んでいるかたも多いようです。
問題なく飲めていればいいのですが、毎日、飲んでいると、今日(あるいは今)薬を飲んだか飲んでいないか、わからなくなるときがあるようです。
お父さん、お母さんが「あれ? そういえばお昼の薬、飲んだかな?」などと呟くようになったら、飲み忘れ防止の工夫が必要なときかもしれません。
「薬の飲み忘れ」を防止するためにも、複数の薬を同時に飲んでいるかたは、それらを一包化できるかどうか、まず医師か薬剤師に相談してみることをお奨めします。
一包化とは、たとえば朝にA・B・Cという3種類の薬を飲んでいるなら、それらを一つの袋にまとめることをいいます。
1錠ずつ凸型の包装シートから薬を出すより手間がかかりませんし、飲み間違いも防げ、薬を出したときに落として探すということも減るでしょう(ただし、一包化できない薬もあります)。
「薬の飲み忘れ」防止で大切なことは、薬を飲んだのか飲んでいないか、あとからわかるようにしておくことです。
飲み終わった「カラの袋」や「錠剤が入っていた凸型の包装シート」などを捨てずに取っておけば、本人が「そういえば今朝、薬、飲んだかな?」と思ったとき、飲んだことがわかります。
同居している家族にもわかるので、いちいち「薬、飲んだ?」と聞かなくてすみます。
これらを踏まえて、「飲み忘れ」防止と飲んだことがわかる工夫をご紹介します。
●「飲み忘れ」防止と飲んだことを忘れないための工夫
1.食事と一緒に、1回分の薬を配膳にセットしておく。
2.食事をするときに、30分後位に鳴るようキッチンタイマーをセットしておく。
3.薬を飲んだあと、次に飲む薬をテーブルの上など決まった場所に用意しておく。
4.スマートフォンのアプリを利用する。「薬 飲み忘れ」などで検索してみてください。
5.薬専用の時計を用意して、飲む時間にアラームが鳴るようセットする。この場合は、1日に何度もセットするのは煩わしいので、忘れやすい食前や食間など、特定の時間のみセットするのに向いています。
1〜5の場合、薬を飲む場所に小箱を用意し、飲み終わった包装シートを入れるようにします。1日分の薬を飲んだことが確認できたら、その日のうちに処分しましょう。
6.お薬管理グッズを使う
お薬管理グッズには、壁に掛けるカレンダータイプ、置き型のケースタイプがあります。
これらは、1日、あるいは朝・昼・晩・寝る前ごとに仕切りがあり、1週間~1カ月分の薬が入れられるようになっています。
飲み終わった袋や包装シートは、薬が入っていた元の場所に戻します。処分するのは、翌日でもいいですし、次の薬をセットするときにまとめて処分してもいいでしょう。
7.薬の包装シートに日にちを書く
お薬管理グッズだと、錠剤の包装シートをハサミで切り離して、毎服用ごとにセッティングするのが面倒に思う方もいるかもしれません。
その場合は、シートに直接、ペンで飲む日付を書く方法もあります(包装シートは切り離しません)。ただし、1日1錠の場合はいいですが、1日3回~4回、同じ薬を服用する場合は、日にちと朝・昼・晩・寝る前など、文字が多くなるので少々不向きかもしれません。
8.カレンダーにチェックを入れる
記録を取るのが好きな方には、服用後、カレンダーにチェックを入れる方法もあります。
以上が親御さん自身が薬を管理する方法です。
3. それでもうまくいかなかったら……
このように薬を忘れずに飲む工夫をしていても、だんだんと上手くいかなくなってきたと感じるときがくるかもしれません。
その場合は、親御さんが住んでいる地区の地域包括支援センターや担当のケアマネージャー、かかりつけ医に相談してみてください。
ホームヘルパーは、一包化されていない薬をまとめて1回分にすることなどはできませんが、服薬を見守ってもらうことはできますし、条件があえば訪問看護という方法もあります。
子ども側の注意点としては、親が薬を飲もうとしているときに、話しかけるのは控えましょう。
薬を飲むときに話しかけると、どの薬を出したかわからなくなることがあるので、できる限り「薬を飲むことに集中」できるようにしてあげてください。
出した薬が転がるような場面を見たときは、「ティッシュの上に出すといいよ」などと声をかけてみてください。
自立した生活が少しでも長く続けられるよう、いろいろな人やグッズの助けを借りながら、親を見守っていけたらいいですね。
<プロフィール>仲野寿代(なかのひさよ)北海道北見市在住。ライフオーガナイザーⓇ 片づけに悩む50代以降の女性をサポートしています。
※シニア生活環境オーガナイザーⓇ 一般社団法人日本ライフオーガナイザー協会が認定した資格で、シニア層のクライアントに対して、生活環境を良好に保つためのサポートする技術を持ち、クライアントに合った適切な各種サービスおよび専門家と連携した支援を行える知識を持つプロです(協会HPより)。
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ブログ:自分がよろこぶ片づけ術