こんにちは。ファイナンシャルプランナーの前佛(ぜんぶつ)です。私は家計改善のアドバイスのほか、整理収納アドバイザー1級を取得し、暮らし全体の整え方もお伝えしています。介護カレンダーでは親の介護をはじめ、将来介護が必要になったときに役に立つ情報をお伝えしながら、介護にまつわる大切なことを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
障害者控除は、障害を負ってる人だけが受けられるものと思われがちです。でも実は、要介護認定を受けている人も対象になるかもしれないことをご存じですか?そこで今回は、要介護者の障害者控除について解説します。
■障害者控除とは
障害者控除とは、納税している本人や配偶者、生計を一にする扶養親族が障害者になった場合に受けられる所得控除のことです。
障害者控除の控除額は、以下の通りです。
□障害者控除
区分 | 所得税からの控除額 | 住民税からの控除額 |
障害者 | 27万円 | 26万円 |
特別障害者 | 40万円 | 30万円 |
同居特別障害者 | 75万円 | 53万円 |
一般的には、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳を交付されている人が対象となります。けれども65歳以上の高齢者は、知的障害者または身体障害者に準ずる者として市区町村長の認定を受けた場合、障害者控除を受けることができます。認定されると市区町村から「障害者控除対象者認定書」が交付されます。このとき障害者手帳の有無は関係ありません。
もし障害者控除を受けることができれば、確定申告で所得税や住民税が安くなります。また、場合によっては住民税非課税世帯となり、介護保険料や健康保険料、後期高齢者医療保険料が安くなることがあるかもしれません。できるだけ経済的な負担を減らしたい昨今、障害者控除の対象になるのであれば、忘れず申請することをお勧めします。
■65歳以上の人が受けられる障害者控除はどのように認定されるの?
65歳以上の人が受けられる障害者控除は、要介護度や身体的状況などを確認し、認定基準に該当する場合に利用することができます。このときの認定基準は市区町村により異なります。
ではここで、事例として東京都世田谷区の場合をご紹介します。
○東京都世田谷区の認定基準
65歳以上で、身体障害者手帳などの交付を受けている人、寝たきりの人、身体障害者など(障害者・特別障害者)に準ずる人で、世田谷区の認定を受けた場合に障害者控除の対象となります。
「障害者に準ずる人」の認定基準は以下の通りです。
・要支援・要介護に認定され、かつ主治医意見書等に記載されている障害自立度がA以上
・要支援・要介護に認定され、かつ主治医意見書等に記載されている認知自立度2以上
「特別障害者に準ずる人」の認定基準は以下の通りです。
・要介護3以上に認定され、かつ主治医意見書等に記載されている障害自立度がB以上
・要介護3以上に認定され、かつ主治医意見書等に記載されている認知自立度が3以上
・要介護3以上に認定された期間が6カ月以上継続しており、かつ食事・排泄・入浴のいずれかに介助が必要な状態が6カ月以上継続している
上記に該当する場合に、「障害者控除認定書」が交付されます。
自治体によっては要介護度(要介護1~5)だけで区分しているところもあります。お住まいの自治体はどのような認定基準になっているかは、役所のホームページで確認してください。
■障害者控除の申請方法
65歳以上の要介護者が障害者控除を受ける際は、役所の介護福祉の窓口に「障害者控除対象者認定申請書」を提出します。自治体によっては本人確認書類や介護保険被保険者証が必要な場合もあるので、事前に確認しましょう。
また、障害者控除対象者認定申請書を郵送して申請できるところもあります。申請書は自治体のホームページからダウンロードできます。申請方法についての詳細は、お住まいの自治体で確認してください。
■まとめ
要介護認定を受けていて、身体的状況などがお住まいの自治体が定める認定基準に該当する場合は「障害者控除」を受けられます。確定申告のときに「障害者控除対象者認定書」があれば、障害者控除により所得税や住民税が安くなります。もし障害者控除の対象者に該当する場合は、利用することをお勧めします。また、実家のご両親が障害者控除の対象者に該当しているかもしれません。その場合は、利用の手続きを勧めてくださいね。
<プロフィール>前佛 朋子(ぜんぶつ ともこ)ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)/ 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 整理収納アドバイザー1級 / 自分史活用アドバイザー
『安心と心のゆとりのある暮らしができる人を増やしていく』という理念のもと、1人でも多くの人に安心できる暮らしと心の余裕を手に入れていただこうと、家計見直しやライフプランなどの相談業務を行う。ライフイベントに合わせて貯蓄や用途を分類するお金の整理を得意とする。また、離れて暮らす母の介護に関わった経験を活かし、遠距離介護などの相談も受ける。保険や金融商品を売らないファイナンシャルプランナーとして活動中。
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