こんにちは。ファイナンシャルプランナーの前佛(ぜんぶつ)です。私は家計改善のアドバイスのほか、整理収納アドバイザー1級を取得し、暮らし全体の整え方もお伝えしています。介護カレンダーでは親の介護をはじめ、将来介護が必要になったときに役に立つ情報をお伝えしながら、介護にまつわる大切なことを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
介護保険制度では、介護保険施設を利用する際、利用者負担の食費や居住費が軽減される制度があります。施設介護では比較的費用がかかるといわれますが、少しでも負担が軽くなる制度があれば、ぜひ利用したいものです。そこで今回は、介護保険負担限度額認定制度について、対象者や対象となる施設、利用する際の手続き方法をご紹介します。
■介護保険負担限度額認定制度とは?
介護保険負担限度額認定制度とは、住民税が非課税の人が介護保険施設に入所・入院したり、ショートステイで利用したりするとき、利用者負担となる食費や居住費の1日あたりの費用を軽減してくれる制度です。
対象となる施設は、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院です。
民間が運営するグループホームや有料老人ホームは対象外となります。
■介護保険負担限度額認定制度はどんな人が利用できるの?
介護保険負担限度額認定制度は、次の2つの要件を満たす人が利用できます。
(1)本人と配偶者および同一世帯全員が市町村民税非課税であること
(2)所得や預貯金が基準額以下であること
また、所得や預貯金の要件として、利用者負担段階による所得や預貯金の状況が以下のように定められています。
利用者負担段階区分 | 所得の状況(※1) | 預貯金の状況(夫婦の場合※2) |
第1段階 | 生活保護受給者 | 要件なし |
第2段階 | 80万円以下 | 650万円以下(1,650万円以下) |
第3段階(1) | 80万円超120万円以下 | 550万円以下(1,550万円以下) |
第3段階(2) | 120万円超 | 500万円以下(1,500万円以下) |
第4段階 | 住民税課税または 世帯員に住民税課税者がいる | 非該当 |
(※1)所得要件の金額=本人の前年の年金収入金額+その他の合計所得金額+非課税年金収入金額(障害年金、遺族年金等)
(※2)配偶者の預貯金は、世帯主の預貯金に1,000万円を加算した金額
制度の対象者は、住民税非課税であることが大前提で、第1段階、第2段階、第3段階(1)(2)に当てはまる人です。第4段階の人は対象外となります。また、預貯金の状況が要件の金額を超えている場合は、制度を利用できないので注意が必要です。
■介護保険負担限度額認定制度の利用のしかた
介護保険負担限度額認定制度を利用する際は、市区町村へ申請をします。申請には「介護保険負担限度額認定申請書・同意書」に添えて、本人と配偶者の預貯金状況が確認できる添付書類が必要です。
預貯金状況が確認できる添付書類として、以下のものを準備する必要があります。
預貯金等の内容 | 添付書類 |
普通預金・定期預金 | 金融機関・支店名・口座名義・口座番号のわかるページの写し 最終残高と直近2ヵ月の明細ページの写し (年金を受給中なら直近の年金振込額がわかるページが必要) (ネット銀行は入出金明細ページの写し) |
有価証券(株式・国債など) | 証券会社や銀行の口座残高の写し(ウェブサイトの写しも可) |
投資信託 | 証券会社や銀行の口座残高の写し(ウェブサイトの写しも可) |
金・銀など | 購入先の口座残高の写し(ウェブサイトの写しも可) |
タンス預金 | 自己申告 |
もし、住宅ローンなどの負債がある場合は、借用証書など負債額がわかる書類を提出してください。
生命保険や自動車、装飾品、絵画、骨董品、家財は預貯金の対象外なので、申告する必要はありません。
手続きは、役所の介護保険課窓口へ持参もしくは郵送します。申請書は役所で入手できますが、役所のホームページでダウンロードできるところもあります。申請書と添付書類のほか、マイナンバーカードなど本人確認書類(郵送のときは写し)が必要なところもあります。手続きの詳細は、お住まいの自治体ホームページで確認してください。
■まとめ
介護保険負担限度額認定制度とは、市区町村民税が非課税の人が特別養護老人ホームや介護老人保健施設に入所したり、ショートステイを利用したりしたとき、あるいは介護療養型医療施設、介護医療院に入院したときに、1日あたりの食費や居住費が軽減される制度です。制度を利用するには、住民税非課税のほか、預貯金などの要件も満たす必要があります。預貯金状況は添付書類での申告が必要ですが、くれぐれも誤りのないよう正しく申告してくださいね。
ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)/ 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 整理収納アドバイザー1級 / 自分史活用アドバイザー
『安心と心のゆとりのある暮らしができる人を増やしていく』という理念のもと、1人でも多くの人に安心できる暮らしと心の余裕を手に入れていただこうと、家計見直しやライフプランなどの相談業務を行う。ライフイベントに合わせて貯蓄や用途を分類するお金の整理を得意とする。また、離れて暮らす母の介護に関わった経験を活かし、遠距離介護などの相談も受ける。保険や金融商品を売らないファイナンシャルプランナーとして活動中。
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