「介護施設探しの体験談」の投稿を拝見していると、どなたもご家族の高齢者向け施設探しに苦労されている様子が伝わってきます。
高齢者向け施設の条件として皆さんがあげているのは、費用、立地、施設スタッフ、施設の雰囲気などが多いですが、なかには入院中の病院からすぐに入居できる施設を短期間で探すケースも見受けられます。ほとんどのかたは、じっくり時間をかけて探すというよりは、必要に迫られて限られた条件で探しているようです。
ご紹介するのは、ご家族が老人ホームに入居した経験がある方を対象にとした「老人ホーム入居の実体験」に関する調査です。「ご家族が老人ホームに入居した経験のあるかた」約1000人を対象に千葉県で老人ホーム紹介所を運営するひまわりライフサービス株式会社がインターネット上でアンケートを実施しました。
このアンケート結果と介護カレンダーの「介護施設探しの体験談」を比較しながら、「老人ホームを選ぶ決め手」について考えてみました。
入居する老人ホームを選んだ決め手は「費用」「立地」「評判」
何年いるかわからない老人ホーム。入居前にしっかり費用をシミュレーション
やはり一番の決め手となったのは「費用」。「希望する全ての条件が満たされた『老人ホーム』に入りたい」と誰しも思うものです。しかし、子どもの学校と違って、「老人ホーム」でどのくらいの年数を過ごすかは、人によって大きく異なります。また、「老人ホーム」に入居してから要介護度が進めば、介護保険料の負担金も加わっていく可能性があります。
実は筆者の亡くなった父親も老人ホームで過ごしていました。「父の貯金や年金でなんとかなるだろう」と老人ホームを選びましたが、入居期間が予想よりずっと長くなり、介護度も高くなり、どんどん減っていく父の貯金にヒヤヒヤしていました。もちろん父には長生きしてほしい。その一方でお金の心配をしている自分が、お金と父の命を天秤にかけているようで、とても切ない気持ちになったことを思い出しました。
費用で老人ホームを選ぶというとなんだか少し悲しい気持ちになりますが、共倒れにならないためにも、入居前に費用のシミュレーションをしておくことは、何より重要なことだと思うのです。
「立地」には、気持ちと距離、費用すべてが絡んでいる
「介護施設探しの体験談」には、施設を選ぶ条件として「立地」が重要であるというかたがとても多くいらっしゃいます。
特に入居する本人、またお元気なかたは、住み慣れた家の近くの老人ホームに入居したいと希望されるケースが多いようです。
しかし、親御さんと離れて暮らしていると、ご家族がなかなか面会に行けない、交通費がかさむなどの問題も出てくるようです。また、緊急の呼び出しがあった場合も、すぐに行けないというデメリットも出てきます。
「立地」は、いわゆる不動産と同じように、都心から離れれば離れるほど、老人ホームに支払う費用、特に家賃に相当する入居金は大きく違ってきます。
一言で「立地」が重要だと言っても、親御さんの気持ち、距離、そして費用のすべてが絡んできますから、どう優先順位をつけていくのかはとても大切なポイントになりそうです。
老人ホームを探そうと思った際に、最初にすること【老人ホームの選び方 vol2】
「その場所で暮らす」ことをイメージして体験入居や見学をする
このアンケートで３位となっている「老人ホームの評判」は、「介護施設探しの体験談」でもよく見かける項目です。
入居される方がお元気な場合なら、「体験入居」がオススメです。多くの老人ホームでは、有料ではあるものの、数日〜１週間程度、実際に入居して生活してみることができます。食事やアクティビティ、スタッフの対応や他の入居者の様子など、暮らしてみなければわからないことが実感できます。
認知症やお身体の状況が悪くて入居を決めるのはご家族という場合は、まずは見学してみましょう。実際にご家族が老人ホームに入居しているかたとお話する機会があったのですが、「見学は１度ではだめ」「できれば複数人数で行く」と言っていました。日や時間を変えたり、人が変わったりすることで、見えるものが変わってくるというのです。
そして、その場所で自分の大切な家族が暮らすことを想像して、もしそれが感覚的であっても、何らかの違和感を感じたときは、躊躇せずにやめた方がいいと話していました。
実は、筆者も父が有料老人ホームに入居する際、数カ所見学に行きました。不思議なことに、父も私も「なんか違う」と感じたホームは同じでした。
あくまでも筆者の個人的な考えですが、もちろんお金や場所はとても大切。でもそれ以外に「その場所でご家族が暮らしている姿を想像すること」も大切なのかなと感じています。
参考：【施設選びのポイントは？】約2人に1人が家族の老人ホームに入居後ギャップを感じている！？家族に徹底調査！
（介護カレンダー編集部）
