「アルツハイマー型認知症」と診断された母。
スープの冷めちゃう距離(片道1時間半)、子ども3人+犬+仕事、今の私ができることはなに?
人はボケると、「明るくなる人」と「怒ってばかりの人」に二極化すると聞いたことがあるけれど、どうやら母は前者で、もともとの明るい性格がさらにパワーアップしたこの頃。
持ち前の前向きな性格とその明るさに家族は本当に助けられていた。
薬は貼るタイプ
そんな母のこの頃の日常は、初めてのことやイレギュラーなことが起きなければ、普通にひとりで生活できるレベルだった。
とはいえ、月2回は認知症外来に定期的な通院して、貼るタイプの認知症予防薬が処方されていた。
貼るタイプを選んだのは、家族が同居していれば薬の管理ができるけれど、ひとり暮らしの母は、飲むタイプの薬だと、飲んだことを忘れてまた飲んでしまうなど命の危険にもつながってしまう可能性もあったから。
もちろん貼る薬にも間違えないように日付を入れていた。
でも、今思えば、薬も気休めだったかなと思う。
正直なところ効果はあまりわからなかった。
介護認定も取った
「要介護1」。
ケアマネさんもつけて、デイサービスの利用を開始した。
運動好きの母のために、運動系のプログラム半日×週2回。
途中からは、週1回短時間ではあるが自宅を訪問してもらい、一緒にお掃除したり、お買い物をしたりしてもらった。
何事もなく、この状態をキープできれば、一人暮らしも続けられるのになぁと思っていた。
趣味のスイミングは認知症と認定されたあとも、4カ月くらいは通えていたと思う。
流石にダイビングクラスはその前にやめていたが、
「同じクラスのみんなが意地悪だ」と本人は言っていたが、
もしかしたら認知症の特徴のひとつの被害妄想だったかもしれない。
認知症を進行させないために!
キーワードは「新しい」。
新しいことをする! 新しい人と出会う!
新しいことは、脳が活性化されるらしい。
一度萎縮してしまった脳は元には戻らないけど、活性化させることはできるという!?
でも、努力次第で、現状をキープすることはできるそう。
「とにかく、なんでもいいから、新しいことを始めるのが一番!」
主治医の先生は、受診のたびにしつこいくらい繰り返していた。
毎回「何か新しいことを始めましたか?」と必ず聞かれていた。
母自身も自分がアルツハイマー型認知症ということは認識していたみたいで、
テレビ番組でボケ防止の特集が放映されれば、一生懸命メモっていた。
「メモを取ったこと自体、素晴らしい!」と担当医に褒められ母は嬉しそうだったが、
メモを取っただけで、なかなか実行には移せない。
「新しいことにチャレンジ」。うん、わかってる。
でも「新しいことにチャレンジできる人は、認知症になんてならないんじゃない?」と思ってしまう自分もいる。
だって、認知症になると、新しいことはやりたがらない。
いろいろなことに対して、意欲がなくなる。
新しいことを始めて脳を刺激しないから、認知症が進行する。
堂々巡りな気がする。
ワンポイントチャレンジ
実際、友人の親がこれをやって、認知症がだいぶ改善されたという「一日一川柳」という方法。
例えば、
・ああ寒い、急に冬が きたみたい
・可愛いな うちの犬は 特別だ
・腹ペコだ 誰かご飯を 作ってね
こんな感じで、なんでもいいから一日一つ、川柳でも俳句でもいいから、作る。
これがかなり脳に良い刺激を与えるらしい。
友人曰く、最初は一日一つを作るのが精一杯だったが、慣れてくると、
サクサクできるようになるのだそう。
そして、以前よりも、もの忘れが改善されていったという。
私も、毎日、母に、
私「ねえねえ、川柳、作った? 作ろうよ!」
母「え〜そんなの面倒だわ」
私「そうやってめんどくさがるのが、よくないんだよ。私も一緒にやるから」
母「・・・」
結局、一つも作ってくれなかった。
母は国語が得意と言っていたから、これがいいって思っていたのだけれど……
今、思えば、もっと母がやりたくなるようなことを探すことが、大事だったのかもしれない。
だって、本人が喜んで「やりたい!」と思うことじゃないと、続かないから。
※ここに記載されている内容はあくまでも個人の体験であり感想です。
1965年生まれ。 家族は、夫と息子3人、犬2匹。弟。 主婦であり、酵母パンやマクロビ料理主宰、ウェブサイトの運営など。 父 脳内出血後、半植物となり、1年間の病院での療養を経て、69歳で他界(2004年)。 母 軽度のアルツハイマー型認知症発症。脳内出血で病院に入院。特養を経て2021年自宅で看取る 。