こんにちは。シニア生活環境オーガナイザーの仲野寿代です。
今回は、高齢の親の見守りをしている立場から書いてみたいと思います。
たまにでも、親の家に行く機会があるかたは、以前と比べてなんとなくモノが増えてきた、雑然としてきたと感じることがあるかもしれません。
実の親なら、「もう、こんなに散らかして!」と片づけたくなるかもしれません。
1.親とモノを観察しよう
前回、訪ねたときと比べて、親の様子に変わりはないでしょうか?
食事は作れている? お鍋を焦がすことはない? 目の不調はなさそう? 耳の聞こえは変わらない? 足の運びはしっかりしている?
こんなふうに、動作と目や耳の調子を観察してみてください。
そして、どんなモノが増えているのか?
それは新しいものなのか、元々家にあったものが見える所に置かれたのか、モノを観察してください。
たとえば、テーブルの上に今までなかったティッシュやリモコン、調味料にお茶のセット、新聞や飲み薬、ペンとメモ帳などがあったなら、いちいち取りに行くには、立ったり座ったりして膝に負担がかかるから、「そこにあったら便利なモノ」が集まってきたのかもしれません。
また、キッチンの調味料が増えていたら、しまうより出しておいた方がすぐ取れて面倒くさくない、残りがわかって買い忘れが防げる、と思ってのことなのかもしれません。
他に、ハサミや時計など1つあればいいと思いがちなものでも、各部屋に置いておいた方が、いちいち持ち歩かなくていい、どこに置いたか探さなくていい、という理由があるのかもしれません。
これらは、自分で工夫していること。
本人が管理できて、危険がないようであれば、受け入れる気持ちを持つことも必要かもしれません(そのうえで、本人が使いやすいように整理するのはアリです)。
2.モノが増えてきたと思う、その他の理由を考えてみよう
(その1)親と子の見え方の違い
目から受け取る情報が、親と子では違うのかもしれません。
先述のテーブルを例にとると、ぱっと見、子世代にはたくさんのモノがテーブルにあると思っても、親世代は、そう感じていないかもしれません。
その景色に慣れてしまっていることもあるかもしれませんが、目の疾患でモノが見えにくかったり、視野が狭くなったりすることもあるようです。
(その2)不安な気持ち
不安な気持ちが大きくなると、モノが増えていく傾向があるようです。
たとえば、食品。
災害や自身の体のことを考えると、「次、買い物に行けなかったら困るから……」と多めに買うことがあるようです。
トイレットペーパーなどの消耗品は、「どうせ使うものだし(これは年齢に関わらずですが)、たくさんあった方が安心する」と思うようです。
(その3)買い物するときの気持ち良さ
買い物は、お店で買うのもネットショップで買うのも、楽しいもの。
モノが必要だからというより、ストレス発散や買い物する爽快感を味わいたい場合もあるようです。
これは、なかなか対応が難しいですが、まずはセールス電話の相手をしていないか聞いてみましょう。そのうえで、上限を決めたり、やりくり出来る範囲で買い物したりするなど、目安があるといいでしょう。どんどん高額のものを買うなど、依存症を疑うようであれば、専門機関に相談することをおすすめします。
(その4)認知能力の低下
同じもの、たとえば大根があるのに、また買ってくるようなことが複数回あれば、より注意深く見守っていく必要がありそうです。
認知症などの心配があれば、住んでいる町の地域包括支援センターに相談してください。
<まとめ>
モノが増えたと思ったら、親とモノを観察し、理由を考えてみてください。親に聞くときは、詰問ではなく、軽く尋ねる感じにするといいと思います。
モノが増えても、それなりの理由があり大きな問題はないものと、問題がありそうなものを分けて考えると、私たち子世代の頭も整理されます。
どちらも場合も、子どもだけでなく、地域の人の手を借りたり、見守りグッズを利用したりして、継続して見守る仕組みを作っていきましょう。
<プロフィール>仲野寿代(なかのひさよ)北海道北見市在住。ライフオーガナイザーⓇ 片づけに悩む50代以降の女性をサポートしています。
※シニア生活環境オーガナイザーⓇ 一般社団法人日本ライフオーガナイザー協会が認定した資格で、シニア層のクライアントに対して、生活環境を良好に保つためのサポートする技術を持ち、クライアントに合った適切な各種サービスおよび専門家と連携した支援を行える知識を持つプロです(協会HPより)。
ホームページ:オーガナイズサービスMORE主催
ブログ:自分がよろこぶ片づけ術