<親から子への連絡帳>エンディングノートを親に書いてもらう7つの手順

<親から子への連絡帳>エンディングノートを親に書いてもらう7つの手順
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介護体験や思いなど、さまざまな立場の人の介護にまつわるコラムをお届けします。

こんにちは。シニア生活環境オーガナイザーⓇの仲野寿代です。

40代、50代は、親が高齢になり、先のことが気になる年代。

親の入院や介護、もしものときのことを考えると、急に不安になる方もいるのではないでしょうか。

体のことはもちろんですが、どこに何があるかわからなくて困ったという話はよく聞きます。また、本人の希望やお金まわりといった大切なことほど、目に見えず、わかりにくいもの。離れて暮らすと、頻繁にコミュニケーションが取りづらくなるので、なおさらです。

そんなとき役に立つのがエンディングノート。エンディングノートとは、もしものとき、残された家族に伝えたいことや自分の希望を書き留めておけるものです。

しかしいくら親だといっても、 急に「エンディングノート書いてる?」とは聞きにくいですよね。

ここでは、簡単でもいいので親にエンディングノートを書き始めてほしいと思っている方に向けて、終活について学んだ経験を含めてお話しします。

1. 準備と心構え

子どもにいきなり「エンディングノート書いてる?」と聞かれると、親はドキッとするようです。そもそも親御さんが終活の類いの話に拒否反応があるようでしたら、エンディングノートを書いてほしいと言うのは、時期が早いのかもしれません。

その場合は、「私に知っておいてほしいことがあったら、わかるようにしておいて」などと、伝えるといいでしょう。

そしてまず自分が、エンディングノートがどういうものなのか知るために書いてみることをおすすめします。エンディングノートに法的効力や特別なルールはないので、書けるところから書いて大丈夫。入手方法は、下を参考にしてください。書きやすそうなものが見つかったら、親の分を用意しておいてもいいかもしれませんね。

2. 書く意味を知る

さて、実際に自分でエンディングノートを書いてみると、実は書きづらいところがあって、一気に書くのは難しいと思いませんか?

また自分の終わりのことを考えながらエンディングノートを書いていると、生きている今がいかに大切なのかに気づくかもしれません。

そう、エンディングノートは、その言葉から命の終わりをイメージしがちですが、今を心豊かに生きるためのものでもあるのです。

自分なりに書くことの良さが感じられたら、親にエンディングノートを勧めやすくなるのではないでしょうか?

3. 書くきっかけ作り

日常のなかで、親にエンディングノートを書いてほしいと伝えるのは、なかなか難しいものです。法事などで、兄弟姉妹・親戚が集まったときに話題にする方法もありますが、そうそうタイミングが合うとも限りません。

まずは、名前の由来など自分が知りたいことや、好きな料理のレシピなど引き継ぎたいことを聞いて、少しずつ話題を広げていくといいでしょう。関連するドラマや映画を話題にするのもオススメです。

4. 教えてほしいというスタンスで

とはいっても、すぐにでも書き始めてほしいと思う人もいると思います。

そんなときは明るく「友達がエンディングノート書いてるから、自分も書いてるんだ。でも家系図のことでわからないことがあるから、教えて」などと声をかけるのも一つの方法です。

親の家に行ったときに書き込んでもいいですし、離れて暮らしているなら無料通信アプリなどで聞くこともできます。

親は、自分やその親世代に興味をもってくれていると思うと嬉しいもの。家系図や自分史に興味があるなら、話してくれる可能性も大きいかもしれません。

そのタイミングで「一緒に書いてみる?」と、ノートをプレゼントしてもいいですね。

5.一緒に書くときのポイント

親には、「書けるところから書けばいいんだって。覚書になるから便利だよ」などと声をかけながら始めてください。

健康について書く項目があるので、かかりつけ医や常用している薬、病歴を一覧にしておけば、いざというとき慌てません。

ざっくりでいいので、明るい雰囲気で始めます。無理強いは禁物です。

6.聞き書きでもいい

親が書くのが苦手なようでしたら、質問して子どもが書く方法もあります。

そのときは、答えやすそうなものから聞いてみましょう。

年金番号などは、書類があれば子どもが書ける箇所です。書類を出すとなると、親は「よっこいしょ」と腰を上げるのが面倒になりがちなので、「出すの手伝おうか?出してくれれば自分が書くよ」とヘルプしてあげましょう。

書類がすぐに出てこなければ、整理収納がうまくできていない可能性も。

問題があるようなら、いったん書類関係の項目は飛ばして、「そのうち書類を整理しようか」などと、片づけに水を向けるのもいいでしょう。

7.適当な時間で切り上げる

高齢になると、何かと疲れるものです。最初のうちは、空欄が目立つかもしれませんが、エンディングノートは一気に書いて終わりではなく、思いついたときに書き加えたり、書き直したりしていいものです(気持ちが変わることもありますから)。

筆が進まなくなってきたら、「続きは今度にしようか」と、早めに休憩しましょう。

途中で終わると、続きが気になるものですし、「書いたら私のノートを見せるから、お母さん(お父さん)も書いておいてね」と興味をひくことで、続きを書いてもらうのもいいでしょう(見られたくないところは、書かないでおきます)。

一緒に書くのが難しければ、ノートを渡して、折を見て進捗を尋ねてみてください。

<まとめ>

エンディングノートは、親から子へ渡る連絡帳のようなもの。親の思いや人生を知るノートです。まずは、書けるところから書いてもらい、なかなか書けないところは、言葉で伝えてくるかもしれません。

たとえば、「旅行に行ったのが一番の思い出」とか、「お葬式はお金をかけないで」とか、「こんな花が好き」、「大事なものは、あそこにしまってある」など会話でキャッチできたら、兄弟・姉妹と共有するといいでしょう。

最後に、エンディングノートは人目につくところは避けつつも、家族がわかるところに置いておくことが大事です。

いざというときノートが見つからないと、親の思いが無駄になってしまうので、仏壇の近くなど、家族が見つけやすいところに置いてもらうようにしてください。

●エンディングノートの入手方法

1.市販のエンディングノートを買う
2.住んでいる市区町村で無料配布している場合は、窓口でもらう
3.エンディングノートが配布される終活セミナーに参加する
4.一般的なノートを利用する(フォーマットなしで、自由に書く)
5. 無料でダウンロードして、印刷して使う(市区町村、終活サイト、弁護士、ファイナンシャルプランナー、葬儀社などの各Webサイト、マイクロソフト社のテンプレートなど。枚数の多いものもあります)
6.葬儀社などから資料請求として、無料で冊子のエンディングノートを送ってもらう(個人情報の入力が必要です)

<プロフィール>仲野寿代(なかのひさよ)
北海道北見市在住。ライフオーガナイザーⓇ  片づけに悩む50代以降の女性をサポートしています。
※シニア生活環境オーガナイザーⓇ 一般社団法人日本ライフオーガナイザー協会が認定した資格で、シニア層のクライアントに対して、生活環境を良好に保つためのサポートする技術を持ち、クライアントに合った適切な各種サービスおよび専門家と連携した支援を行える知識を持つプロです(協会HPより)。

ホームページ:オーガナイズサービスMORE主催
ブログ:自分がよろこぶ片づけ術
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