上手に介護サービスを利用。デイサービスを経て系列の特養へ【介護施設探しの体験談】

上手に介護サービスを利用。デイサービスを経て系列の特養へ【介護施設探しの体験談】
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千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス所長、老人ホームアドバイザーである石田治男さんが「老人ホーム」を探す際の考え方や欠かせない知識、実践的なテクニックを教えてくれました。また、家族や親戚などを老人介護施設へ入居させた経験がある方の体験談も紹介します。

要介護5のご主人のおじいさまは、デイサービスを経て系列の特別養護老人ホームに入居したというN.M.さん。利用可能な介護サービスを上手に利用して介護とうまく付き合うことが、本人と家族を守ることにつながると話します。

上手に介護サービスを利用。デイサービスを経て系列の特養へ

【プロフィール】
<入居者>祖父
<施設種類>特別養護老人ホーム
<入居年齢>80代以上
<介護度>要介護5
<入居期間>2014年7月〜2017年7月
<居住地域>京都府
<話を聞いたかた>孫の配偶者

入居者との関係

主人の祖父です。

医療的ケア・疾患、症状など

アルツハイマー型認知症が進行し、在宅生活が困難になりました。
見当識障害や妄想、幻覚の症状もありましたが、特養に入所してからは穏やかな性格になりました。また、加齢による足腰の弱さから転倒や骨折を繰り返していました。さらに、廃用症候群(※1)になり、全身の機能が相対的に落ちていきました。

※1 廃用症候群とは過度に安静にすることや、活動性が低下したことによる身体に生じた様々な状態(出典:健康長寿ネット

入居を決めた時期と理由

認知症の診断を受けていましたが、祖母の支えもあり何とか在宅での生活を継続していました。しかし、徘徊や妄想がひどくなり、警察のお世話になることも増えてきていました。そこでまずはデイサービスを利用し、少しずつ慣れていきましたが、祖母や家族の介護負担はなかなか軽減されませんでした。そのため特養の入所を検討し始め、数カ所に申し込んだところ、利用していたデイサービスと同じ法人内の特養に空きが出たため入所を決めました。

施設の探し方

まず、市町村にある介護相談の窓口に相談に行きました。そこで、ケアマネージャーを紹介され、要介護認定をしてもらいました。
当時は、認知症の症状は進行していましたが、身体は元気で1人で歩くことも可能だったので入所施設より通所施設の方が適しているだろうという判断から、デイサービスをいくつか紹介されました。
そのなかからいくつか見学に行き、祖父に合いそうなデイサービスが見つかったので利用を開始しました。

入居の手続き、ステップ

まず、市町村の介護相談の窓口に相談に行きました。そこで、ケアマネージャーを紹介していただき、要介護認定を受けました。
要介護認定が降りると、ケアマネージャーと相談し、祖父に必要なケアや利用可能なサービスのなかから、デイサービスの利用を選択、数カ所の見学後、利用を開始しました。

デイサービスの利用は継続していましたが、祖父の身体的な衰えが進み、家族の介護負担が増えてきました。在宅での介護に限界を感じ始めたので、特養入居を念頭に数カ所に申し込みを行いました。
そのなかで、通っていたデイサービスと同じ法人内の特養に空きが出たとのことで、慣れた場所が良いだろうとの思いもあり、入居に至りました。

入居して良かったこと

24時間365日の介護から解放されたこと。家族は自分の時間をもつことができますし、物理的・精神的・身体的負担のどれもが軽減されました。

介護士や看護師の適切なケアを受けることができるので、安心して任せられました。施設内では、定期的にイベント等もあるので、日常生活に刺激もあって良かったです。環境に慣れてからは祖父自身も穏やかに過ごせていました。定期的に面会を行うことで祖父の様子を見ることができたのも安心できたようです。

入居して大変だったこと

まず、金銭面での負担が増えることがあげられます。サービス付き高齢者住宅等に比べれば安いのですが、それでも毎日その施設で過ごすので、利用料は決して安くはありません。

転倒のリスクが高かったり、精神的に不安定な状態が見らたりすると、転倒や骨折、また他者とトラブルになることもあります。
万が一入院等になると、医療費は別にかかりますから、金銭の負担は増えます。

その施設自体が本人に合わない環境だと、認知症状が悪化したりすることもあると聞きました。

入居を検討しているかたへのアドバイス

介護施設といっても、多くの種類があり、サービスの内容もさまざまです。
同じ特養でも利用者に対する考え方の違いから、スタッフの質、環境面の整備にも違いがあります。迷われることもあるとは思いますが、大事なのは、利用する本人に合う施設を探すことです。

家族は新しい設備が整った施設が良いと思っていても、本人は実は小規模で昔ながらの雰囲気が漂う施設の方が落ち着いて過ごせたという場合や、ひとりで過ごせる環境が必要な人、逆に誰かがそばにいないと落ち着かない人など、求めるニーズは異なるので、その人の性格や考え方に合わせて検討されると良いと思います。

最後に、介護サービスを受けることは恥ずかしいことでも何でもありません。
利用可能なサービスを上手に利用して介護とうまく付き合うことが、本人と家族を守ることにつながると思います。

※入居時点の情報であり、あくまでも個人の感想です。

★特別養護老人ホーム(特養)について詳しく知りたいかたは、こちらをご覧ください。

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